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2019-09

日記29日目

「久しぶりですね、オリフィエル。」

 眼鏡をかけたオリフィエルと同じ色の目を持つ悪魔は、彼女が座っているテーブルの席へとついた。

「お元気そうでなによりです。ゆっくりお話をしたい所ですが……用事の方が先決でしょうね。さて、どの様なお話しでしょうか?」

 オリフィエルが注いだ紅茶のカップを受け取り、拡がる芳香を鼻先で楽しんだ後、ファウストは彼女の方を見た。

「はい、せっかくファウスト様と行った契約の件なのですが……破棄させていただきたいのです。」

 オリフィエルの意外な提案に、思わずファウストは眉を顰めた。

「何か不都合な事でも?私は特にあれ以降、あなたに何も要求した覚えは無いのですが。」

「あ、いえ。ファウスト様との契約に、なんの不便も感じてはいないのですが……」

 オリフィエルはファウストの顔色を伺いながら、慎重に言葉を選びながら話を続けた。

「実は、ある方と契約を結ぶ事になったので……ファウスト様との契約を打ち切りたいのです。勝手な我儘ですみません。」

 オリフィエルが頭を深々と下げるのを、ファウストは苦笑いするしかなかった。

「別に貴女が複数の契約を結ぼうと、私は構いませんよ。力を求める魔女であれば、至極当然の事ですし……ね。」

「いえ。その方は私としか契約を結ばないのに、私が複数のかたと契約を結ぶ事はフェアじゃないと思うんです。」

 オリフィエルが真剣な眼差しでファウストを見るので、ファウストは吹き出しそうになった笑いを必死に堪える事になった。

「冗談が過ぎます、レディ。悪魔との契約にフェアもアンフェアもないでしょう。こんな話、オリフに話しても信じてもらえませんよ。」
 
「……すみません。でも、本気なんです。」

「分かりました。そこまで仰るなら契約を破棄しましょう。但し、頂いた力は返ってくる訳ではないのですよ?それでもいいのですか?」

「はい。」

 迷いなく首を縦に振るオリフィエルに、ファウストは何処か懐かしい者を見るような目で微笑んだ。

「オリフィエル……あなたは本当に真っ直ぐなかたですね。まるで私の妹の生き様を見るかのようです。」

「ファウスト様の妹さんが私に……ですか?その方は今どうなさっているのでしょうか?」

オリフィエルの問いに、ファウストはただ微笑むだけで何も答えなかった。

「さて、それでは早速契約の解除を致しましょう。あ、そうそう。」

ファウストは人差し指を立てて、オリフィエルに目配せをした。

「オリフの大事な妹さんですから。一度だけ、貴女の歌と踊りをお返ししましょう。」

「本当ですか?ありがとうございます!」

 深々と頭を下げるオリフィエルに、ファウストはまた苦笑いをするしかなかった。

「さて、それでは紅茶が冷めないうちに済ませてしまいましょう。折角の貴女とのお茶会を楽しめなくなってしまいますからね。」
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