2018-07

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日記31日目

Oriphi Side

 いつもの服でも良かったけど、今日はテーセウスさんと特別な関係になってからの初めてのデート。
 少しぐらいおめかししても、変じゃないはず。
 私は遺跡外の洋服屋さんでデートの洋服を選ぶ事にした。

 しかし、私は服を選ぶことができなかった。
 理由は簡単。
 鏡に私の姿が映らないから。
 鏡の子のオリフィがこちらの世界にいるのだから、私の姿が鏡に映る筈が無い。
 私は洋服を買うのをひとまず断念して、いつの間にかテントから居なくなった鏡の子を捜すことにした。
 しかし、彼女の行く宛てなど分かるはずなく、遺跡外をしらみつぶしに探し回ったが見つからず、エキュやヒスカ達の居るテントにも尋ねに行ったが、其処にも彼女は居なかった。

 途方にくれている処を、蓮さんが声を掛けてくれた。
 私が事情を話すと、エキュやヒスカも一緒にデートの服を見立てくれる事になった。
 一緒にいた雪火さんにも声を掛けようか迷ったが、この前の事もあったので、結局言い出せずに終わってしまった。

 翌日、服のお礼に昼食用に多めに作ったサンドイッチをエキュやヒスカ、蓮さんに渡した私は、彼女達の手伝いでデートの準備を無事済ませ、テーセウスさんとのデートに臨んだ。


 ―逸る気持ちを抑えながら。 Other Side

 薄暗い書斎でひとり本を読む白子の少女。
 私はその子の名前を知っていた。
 彼女の名はアルフラウ・ニフルハイム。
 北限の地ニフルハイムを治める女伯爵。
 転移陣より現れた私は、まだ本を読む事に集中している彼女に歩み寄ると、そっと彼女の肩を叩いた。
 彼女は肩を叩かれた事に気付くと、本から視線を外して私の方へと顔を上げた。
 アルフラウと視線が合ったので彼女に声を掛けようとした時には既に、彼女に抱きつかれて倒れ込んでしまっていた。
 
「おかえりなさい!おりふぅ!」

 満面の笑みを浮かべ私の上に乗るアルフラウに、私は苦笑いを返すのが精一杯だった。

「ただいま……そして、初めましてアルフラウお姉様。一度お逢いしたいと思っていました。」
 
 私はアルフラウを抱き起こして自分も姿勢を整えると、彼女の服に着いた埃を丁寧に払った。
 
「おりふぅ……今日はどうして、そんなに余所余所しいの?いつもの通りにしてくれないと、悲しいよ?」

 “おりふぅ”というのはオリフラム姉さんの事だろう。直接に会った事は無いが、私と同じ目の色をした従姉の事で、アルフラウ様の最愛の妹である事は知っていた。
 私は自分の事を説明するのが面倒になったので、そのまま姉の望む妹を演じる事にした。

「ごめんなさい、姉さん。今日はちょっと気分が優れないの。いつもはどうしてるのかな?」
 
 私が首を傾げると、アルフラウはそれに合わせる様に首を傾げた後、私の目をじっと見詰めてた。
 何か声を掛けようとすると、彼女は思ったより身軽に飛び退いて怪訝な様子で私の方を見るようになった。

「……あなたは誰?」

 演技が拙かったのか、彼女は私がオリフラム姉さんでは無い事にようやく気がついたようである。
 元々騙す気もそれ程無かったので、私は改めて彼女に自己紹介をする事にした。
 
「ふふ、お姉様があまりに私の事をおりふぅって呼ぶので、ちょっとからかいたくなってしまいました。ごめんなさい。」

「やっぱり、おりふぅではないのね。おりふぅにそっくりなあなたは誰?少し懐かしい魔力も感じるのだけど?」

「懐かしい魔力?それに関しては身に覚えがありませんわ。改めまして……初めましてアルフラウお姉様。私はオリフィエル・ニフルハイム……あなたの妹ですわ。」

 「一応ね。」心の中でそう付け加えた私は、スカートの裾を軽く摘むと、膝を少し折ってお辞儀をした。
 
「オリフィエル……オリフィエル……あ、鏡の世界から帰って来たあの子ね?確か島に探索に出ていた筈だけど。もう島の探索は終わってしまったのかしら?」

 警戒を解いて表情が和らいだアルフラウは、付箋の付いた大きな日記帳のページ何枚か捲り、おりふぃの事について書かれているらしい項目に目を通しながら私に尋ねた。

「あ、いえ。探索はひと段落という所ですね……エキュオスの生態を解明するのにはもう少し探索には時間が掛かると思います。」

 私の言葉に眉をピクリと上げたアルフラウは、穏やかな笑顔から少し険しい表情になって私の方を見た。

「あなたが遺跡の探索に出掛けたのは、あなたの住んでいた世界が壊れた理由があの島にあるかもしれないから……でしょう?」

「そんな事、知ろうとしてどうするんです?鏡の世界が壊れた理由なら、私がすべて知っているというのに?」

「……あなたオリフィじゃないのね?」
 
 私の言葉に表情がさらに険しくなったアルフラウは、私から距離をとるように後ずさると、近くにあった杖を手元に引き寄せた。

「……半分正解で半分外れですわ、お姉様。」

 私は彼女が身構えるのを気にすることなく、話を続けた。

「で、さっきのお話ですけど。おりふぃを遺跡に向かわせるように仕向けたのは、エキュオスの生態を知りたいからですよね?アルフラウお姉様は、今の自分を終わらせたいと思っている……違いますか?」

「あなたは私しか知らない筈の事を、どうして知っているの?あなたは本当に……誰なの?」

 元々透き通った生気のないアルフラウの顔色が、より蒼白になるのを見た私は、もっと彼女を恐がらせたいという脅迫観念に囚われた。
 ちょっと芝居じみた笑みを口元に浮かべ、私は私自身を指さして呪文のように言葉を紡いだ。

「かがみよかがみ わたしはだあれ?」

 私の言葉にきょとんとした顔をしたアルフラウは、すぐ我にかえって私の方を睨みつけた。 

「ふざけているの?くだらない冗談……道化は余所でやってくれないかしら。」

「あら、ふざけてはいませんよ?私は本当に私が誰なのか分からないのです。移送鏡から呼び出されたちょっとエゴを持ったおりふぃの分身である事以外は……ね。」

「薔薇の刻印の移送鏡……オリフィがあなたを呼びだしたの?どうして、そんな事を。」

 困惑した顔で私の方を見るアルフラウ。
私が戦う意思を見せていない事は分かってくれたようで、華奢な手で力いっぱい握っていた杖を彼女は手放すと、近くの机に立て掛けた。

「鏡の悪魔と契約をしたのですよ。おりふぃが鏡の力を使うとしたら、想入れのあるモノを選ぶのは必然だとは思いませんか?」

「……よりによって、あの鏡を選ばなくてもいいのに。」

溜息をつくアルフラウに、私は苦笑いするしかなかった。

「ふふ、アルフラウお姉様。私はおりふぃの分身でもありますけど、分身という立場だけではないようです。私は自分が誰なのか探してみようと思ってますの。それをお伝えに来ただけですわ。」

「そう、ご苦労様。でも、どうして私にわざわざそんな事を伝えに来たのかしら?」

 少し緊張が和らいだのか、アルフラウはやや微笑みながら私の方に首を傾げてみせた。

「はい。本当のお姉様になるかもしれない人に、ご挨拶するのは礼儀だと思いまして。」

「貴方が本当の妹だと言いたいの?」

 首を傾げるアルフラウ。

「オリフお姉様が本当の妹でない事はあなたは知っている筈でしょう?」

 私の問いにアルフラウは、笑顔のまま答えた。

「妹に本当も嘘もないわ。私の愛する妹はオリフラム・ニフルハイムだけだもの。」

「あら、不思議。私の方が邪魔ものみたいですわね?」

「おりふぅと一緒に可愛がってあげるわよ?」

 アルフラウの言葉に肩を竦めて苦笑いした私は、少し踏み出して彼女へと手を差し出した。

「お姉様。せめて今日ぐらいは、私と一緒の時間を過ごしませんか?あなたの大好きな綺麗な星空の見える場所に案内いたします。」

「あら、いいわね。おりふぅとよく眺めていたのを想いだすわ。少しだけ、あなたの時間にお付き合いしましょう。」

 アルフラウ差し出す手を引き彼女を抱き寄せると、私は転移陣へと飛び込んだ。

 転移陣へと飛び込んだ時、何処からかオリフお姉さんの叫び声が聞こえた気がしたが、私は気にしない事にした。
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