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2019-09

日記65日目

「……解せないわ。」


ノウァが夕飯の支度のために調理場へやって来て見たものは、大きな南瓜頭に喰われて下敷きになっているドルチェとアマービレの姿だった。

「……ドルチェ様とアマービレ様。こんな所で魔法少○ごっこですか。これから夕飯の支度をいたしますので、やるなら他でやってください。」

『その声はノウァね!真っ暗で何がどうなってるか分からないのよ!とにかく私達を助けなさい!』

 巨大な南瓜の口に頭をすっぽり咥えられたように見える双子は、足だけパタパタとさせてノウァに助けを求めているようだった。
 ノウァがとりあえず南瓜頭から双子を丁寧に引き抜くと、南瓜頭の口からはクッキーやビスケットなどのお菓子がポロポロとこぼれ出た。

「よくやったわノウァ!危うく魔法少○ごっこで首がもげる所だったのよ!」

「ほんと死ぬかと思ったわ!首がもげたぐらいじゃ死なないけど!」

 無邪気にはしゃぐ双子を、ノウァは半ば冷ややかな視線で見つめながら溜息をついた。
 
「どういたしまして。夕飯の支度もしなければなりませんが、どうしてこうなったのか説明していただけますか?」

「話すと長くなるから、夕飯の支度が遅れてしまうわ!ノウァはこのカボたんの頭を片付けて置いてね!ドルチェとアマービレはクールに去るわ!」

「去るわ!」

 お菓子をポケットにしこたま詰め込んで、調理場から逃げ出そうとする二人の首根っこをノウァはすかさず捕まえた。

「支度はすぐに済みますのでお気遣いなく……さぁ、話していただけますか?」

「うぐ、仕方が無いわね。ノウァがそんなに頼むなら教えてあげなくもないわ。オリフィエルには内緒よっ!」

「そうよ、オリフィエルには内緒よっ!」

 ノウァに首根っこを捕まえ上げられて足をパタパタとさせながら、ドルチェとアマービレは得意げに話し始めた。 


―数時間前。

 ドルチェは、数日前にオリフィエルから貰ったお菓子が空になった袋を、逆さまにして眺めながらアマービレに言った。

「ねぇ、この前のブラウニーやドーナツだけど、オリフィエルったらいつの間にあんなにお菓子を作ったのかしら?あれだけたくさん作るのに、お菓子に敏感な私達の目を掻い潜るなんておかしいわ!」

 同じくオリフィエルから貰ったお菓子の袋を逆さまにして振りながら、アマービレは返事をした。

「分かった!オリフィエルはどこかにお菓子を作り溜めしてるに違いないわ!」

「そうね、絶対そうよ!おめぇ頭いいな!」

「きっと何処かにお菓子を隠しているのよ!ええと、確か……」

『おかしいれ!』

 声が重なり目を輝かせながら、二人は空になったお菓子の袋を放り投げた。
 勢い良く部屋の扉を開けた二人は、調理場へと向かって一目散に駈け出して行った。

「案の定、お菓子の匂いがするわ。しかも沢山!ここにお菓子入れがあるに違いないわ!」

 ドルチェとアマービレは食器棚の引出しや戸を開けてしらみ潰しに探したが、お菓子の匂いはすれど肝心のお菓子入れを見つけることができなかった。

「お菓子の匂いがするのに、これだけ探しても無いってどういう事なの!オリフィエルは魔法でも使ったというの!?」

「落ち着くのよ!オリフィエルは戦いの時以外はほとんど魔法を使わないはずよ!きっと私達には見えない場所にお菓子入れが隠れてるに違いないわ!」

 ドルチェとアマービレは暫く見つめ合った後、何かを思いついたのか手をポンと叩いた。

「上よ!きっと食器棚の上に隠してあるのよ!私達の手の届かないところにお菓子を隠すなんて、オリフィエルは汚いわ!さすが魔女ね!」

「おめぇ、まじ頭いいわ!さすが汚いわオリフィエル!オリフィエル汚い!」

 相槌を打った双子は納屋から脚立を持ち出すと、食器棚の前にそれを置いて上に乗った。
 二人の背ではそれでも食器棚の上に僅かに手の先が届く程度だったが、そこには箱のようなものの感触を確かに感じた。

「あったわ!見えないけどお菓子の匂いもここからするわ!でもちょっと大きいし重いわね。なかなか動かないわ。」

 つま先立ちでなんとか箱を引っ張り出そうとしたドルチェとアマービレだったが、思ったよりその箱のような物は重く、不安定な姿勢のせいもあって手元に寄せることができなかった。

「こうなったら……二人でジャンプして引っ張り出すわよ!落ちて箱が凹んでもお菓子が無事ならそれでいいわ!」

「そうね!ここまで来て人間の浅知恵に屈する何なんて、悪魔の名が廃るわ!」

 ドルチェとアマービレは決意に満ちた表情で見つめ合うと、静かに頷いた。

『いっせーのせでジャンプするわよ!いっせーの、せっ!』

 箱のようなもの飛びついた二人の体重で、棚の上にあった重いものは引っ張りだされその姿を表した。

『ちょ、おまwwwwwwww』
 
 歓喜に満ちた二人が次に見たものは、二人を喰らうように襲いかかる巨大な南瓜頭の口だった。

「……と言う訳よ。」

「まさかカボたんさんの頭が襲ってくるとは思わなかったわ。」

 鋼鉄製の南瓜頭をしみじみと眺めながらドルチェとアマービレは呟いた。

「さぁ、事情は説明したのだから、もう良いわよね?お菓子も手に入れたことだしさっさとずらかるわよ!」

「ノウァ!カボたんさんの頭の後始末は任せるわ!後はよろしくって……げぇーッ!オリフィエルー!」

 いつの間にか調理場にやってきた白い魔女の姿に、ドルチェとアマービレは絶叫した。

「……これはどういう事なの。ドルチェ、アマービレ?」

 眉を吊り上げて声を高くして尋ねるオリフィエルに、双子たちは思わず目を逸らした。

『こ、これは私達がここで魔法少○ごっこをしていたら落ちてきたのよ。ノウァが助けてくれなかったらあやうく〇〇る所だったわ。』

「あ、え。そうだったの?ごめんなさい。おかしいな……奥のほうに仕舞っておいたはずなのに。」
 
 ドルチェとアマービレの言葉を間に受けたオリフィエルは、二人に頭を下げながらも首をかしげたままだった。

「お二人とも無事なようですし、気になさらないでくださいオリフィエル様。ところで、この南瓜頭は……お菓子入れなのですか?」

 ノウァはポロポロとお菓子を吐き出す南瓜頭を抱えながら、オリフィエルに尋ねた。

「あ、はい。それはカボたんさんから、デートの時に欲しいって駄々をこねて貰ってきました。可愛いのでお菓子入れに使ってるんです。」

 ノウァからカボたんの頭を受け取ると、大切そうに抱き抱えてオリフィエルは微笑んだ。

「カボたんさんの頭をもいでお菓子入れ……」

「……ベルヌレットもびっくりだわ。」

 ドルチェとアマービレは交互に顔を見合わせながら、笑顔で南瓜頭を抱き抱えるオリフィエルを奇異の眼差しで見つめるしかなかった。
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