2018-06

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日記70日目



「ふぃふぃ、ちょっとの間だけお供してくれるんですって?レーレ超嬉しい!!有難う!」

 テーセウスのいる処へと向かった私は、先に彼と一緒に合流していたレーレさんと会った。
 レーレさんには一つだけ貸しを作ってしまい、それを未だ返していないことを私はずっと気に掛けていた。
 レーレさんがこの島を去る前に、一言謝っておきたかった私にとって、この合流はまたとない機会となる筈だった。

「あ、レレさん。お逢いできて良かったです。あの、昔約束したあの事ですけど……」

「お礼しなくちゃね…はい、コレ!!」

 
 私が話しかける途中でレーレさんに手渡されたものは、鎖の付いた首輪だった。

「え……なにこれ。」

「だーからー、私からの餞別だってばよ!結婚祝いの第二弾、ウェディングリング首輪よ☆」

 鎖のリードのついた首輪を、テーセウスと私に手渡したレーレさんはとても上機嫌だった。


「あの、ちょっと……訳がわからないんですけど。」

 いまいち納得のできない私は、レーレさんに預けられた首輪を返そうとした。

「あら、知らないの?私とテステスは主人と犬の契を交わした仲なのよ!つまり、ふぃふぃはテステスのつがいなんだから首輪をつけける義務があるわ!」

「犬って、ちょっと!どういう事ですか!レレさんはテスに何したんですか!」

 私がレーレさんに問い詰めようとすると、テーセウスが私の肩をそっと掴んで押さえた。

「レーレ様からお金をお借りしたことがありまして、文字通り犬となって『わん』と鳴いたりいたしましたが……いやはや、オリフィには知られたくなかった。お恥ずかしい。」

 テーセウスが肩をすくめて頭を下げるのを見て、私はいかんともしがたい気持ちになった。

「それ、レレさんが強要したんですね……ちょっと、レレさんとあっちの草むらで話し合ってきます。」

 私がテーセウスの手を払いのけてレーレさんに詰め寄ろうとすると、立ち塞がるように彼が私の肩をしっかりと両手で掴んだ。

「待ちなさい、オリフィ。あの時……わたくしが曖昧な対応をしてしまったせいで、レーレ様の機嫌を損ねてしまいました。これはその報いです。」

「……テス?」

「レーレ様………わたくしも一男性とし、契約悪魔としてのプライドもあります。 男に二言はありません。」

 テーセウスはレーレさんの方を向き、決意に満ちた目で首輪を彼女の前に突き出した。

「喜んでつけさせていただきます。」

 そう言って潔く首輪をつけるテスの表情は、無駄に漢らしかった。

「てすぅぅううう!?」

 目の前で起こっている意味不明な現象に、私はこれは夢なのではないかと錯覚した。

「さすがテステス!男の中の男、話がわかるわ!あとは聞きわけのないふぃふぃの番ね?」

 目が見えない筈なのに状況の把握が的確なレーレさんに、私はすこしばかりの殺意を覚えた。

「つけるわけないでしょう!夫婦揃って何でこんな羞恥プレイしなきゃいけないんですか!?もうやだ、屋敷に帰るッ!」

 私が首輪をトルネード投法で投げ捨てようとすると、その手をレーレさんが押さえた。

「おっと、まちなふぃふぃ。私からのプレゼントを投げ捨てるなんてあんまりじゃない……物を粗末にすんな。」

「うっ。だ、だってこんな物貰っても正直いらな……」

「へぇー。私達の前で交した誓いをもう破るつもり?」

 したり顔で私に詰め寄るレーレさんに、私は思わずたじろいた。

「な、何の事ですか。レレさんの前で何か誓った覚えなんてなんて……あ。」

「へっへっへっ、忘れたとは言わせないぜ、オリフィエルさんよぉ。テステスとアルフラウお姉さまの前で誓の儀式をしたんじゃなかったっけ?」 

「ち、誓いましたけど……それとこれは話がちが……」

「確か『テーセウス、これまで貴方は私が挫けそうな時、優しい言葉と励ましで勇気づけてくれました。これから生涯、私の夫として貴方を尊敬し、信じて共に生きていこうと思います、キリッ』っていってましたよねー、オリフィエルさん?」

 中途半端に似てる私の物真似をして、レーレさんは私の肩に手を掛けた。

「……う。」
 
「テステスが首輪を付けたんだから、当然ふぃふぃもつけなきゃおかしいわよね?星霊さまはちゃんと見てますよ?つけなくていいんですか、ふぃふぃさん?」

 同意を求めるレーレさんの表情を見て、私は心の奥からどす黒いものこみ上げてくるのを感じた。

「ッ……だめ。マナの影響で気が昂ってるだけ……心を鎮めないと。」

 額に手を当て意識を集中する私に、レーレさんはプッと吹き出した。

「何、いきなり厨二病?ふぃふぃったら、そんなキャラだったの?面白ーい。」
 
 その一言で私の“何か”が吹っ切れた。
 
 
 私が黙って首輪を身につけると、レーレさんはその音を聞き届けて満足そうに微笑んだ。


「あら、もしかして、ふぃふぃ怒ってる?怒ってるの?」


「……はい。」
 
 頷く私に、レーレさんは一仕事やり遂げたような表情で囁いた。

「なんだ、ちゃんと怒れるじゃない。」 

 何処かで誰かが「プッ」と笑った気がしたが、私はそれを気にしてる余裕すらなかった。
 
「……私、レレさんに謝ろうと思ってたことがあったんですが。」

「あら何?何なのかしら?」

「……今それどころじゃなくて、忘れてしまいました。」

「あら、そう?残念だわ。」

 レーレさんは気にする様子もなく、笑顔でそう答えた。


 

 

 ―オリフィエルには聞こえないように、テーセウスはレーレの耳元で囁いた。

「感謝しています……オリフィの泣き顔はわたくしもあまり見たくはありませんので。」

「あら、いい話みたいになっちゃってるけどいいのテステスさん?本当のお楽しみはこれからよ。」

「ええ、そうですね。わたくしも楽しみです。」

 オリフィエルに気付かれないよう目配せするレーレに、テーセウスはウインクをして微笑みを返した。
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