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2018-12

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セツカさんの中の人のお誕生日記念。

 節分の日がENo.1352 レイヤ・センドウさんの中の人のお誕生日でしたので、記念にSS書いてみました。
 お誕生日おめでとうございます!
 
 裏表12日目日記のセツカさん視点バージョンです。
 公開していい許可を頂きましたので、お披露目させていただきますね。
 挿絵はパーティメンバーのENo.1351 サクラ・エゾヤマさんに、こっそりお願いしていました。
 
 お願いしてから、2時間ぐらいで挿絵をいただいて鼻水でた。
 



 それではどうぞ、おたのしみ下さい。  
 ―それは、果たされなかった約束。
 
 鏡の世界からやってきた魔女の少女フィーと、少しは打ち解け合った気がする冬のある日。
 お菓子作りの試食会という事で、オリフィと付き添いでやってきたフィーがプリンを持ってきた。
 テントにいたエクやヒスカ達と一緒に、焚火を囲いながらオリフィの作ったプリンをみんなで食べた。
 アランさんやバレットさん。蓮も何処かに居たような気はするが、何故か俺の視界には入っていなかった。
 オリフィが、エクやヒスカの傍で楽しそうに試食の感想や世間話をしているのを、プリンを食べながらおざなりに眺めつつ、フィーが自然と隣に来てくれる仲になった事を改めて実感する。
 傍らで黙々とプリンを頬張るフィーの横顔に、思わず笑みを漏らしていた。

「……何。人の食べてる処、ジロジロ見ないでくれる?恥ずかしいんだけど。」
「いや、フィーってもっと上品に食べるんだと思ってたから、意外でさ。凄く美味しそうに食べてて、
庶民的だなって。」

食べるところを見られると照れるんだけど。

「見られていると思ってなかったから、油断しただけよ。庶民的で結構。初めて作った割にはよく出来てるんじゃないかしら。私の腕にはまだまだ敵わないけど。」
 
 そう言って、残りのプリンを上品に食べ終えたフィーは、空の容器を足元に置くと口元をハンカチで拭った。

「あのさ、フィーの手作りのお菓子を食った事がないから、なんとも言えないんだけど。」
「あら、そうだったかしら?それなら……確かお菓子をプレゼントする日が近かったわね。その時に、セツカが絶賛するようなお菓子を作れば良いのでしょう?」
「え、本当に?フィーが作ってくれるものだったら、なんだって嬉しいよ。ありがとう、楽しみにしてる。」
「えこ贔屓なしで、オリフィの作ったお菓子より美味しいって言わせたいだけよ……楽しみにしてもらうのは、悪くはないわ。期待して、待ってて。」
 
 照れくさそうに帽子を深く被りフィーが俯くので、思わず後ろ髪を撫でたくなってしまった。
 その手がフィーの髪に触れようとすると、彼女の姿が靄のように掠れてゆく。



「っ!?フィー!!」

 目一杯伸ばした手の先には何もなく、目の前には真っ暗なテントの屋根がただあるだけだった。

「やっぱり夢か……そうだよな。」

 周りは俺の寝言には気付かなかったようで、健やかな寝息を立てる音が聞こえてきた。
 夜が明けるまでには、まだまだ時間がある。
 寝付けなくなったので、気晴らしに散歩に出かけようと支度を整えると、テントの出口へと静かに移動した。
 
 ふと、テントの外に人影が見えたので、慌てて俺は近くに立て掛けてある剣に手を伸ばそうとしたが、そのシルエットに思わず息を呑んだ。
 テントの幕越しの人影が魔女帽を被った女性の姿だったため、ただ呆然と影を眺めてしまっていた。
 フィーがこんな所にいる筈はない。
 しかし、今は夢から覚めたばかりで夢な訳がない。
 否定する心と、僅かに奇跡を期待する自分の心の狭間で高鳴る鼓動を抑えきれなかった。

「……セツカ。そこに居るなら、出てきて欲しいのだけど。」
 
 テント越しから聞こえる女性の声は、記憶の中にあるフィーの声と同じだった。
 恐る恐る入り口の幕を捲ると、紫の目の魔女服を着たまさしくフィーそのものの姿に思える少女が、リボンに包まれた小さな箱を持って立っていた。

「フィー……なのか。どうして、此処に居るって分かったんだ?」
「細かいことは、気にしたら負けよ。約束を守りに来ただけ。はい、トリュフチョコレート。」

 手渡された小さな箱を受け取ると、フィーのような姿をした少女は満足そうに微笑を浮かべた。

「急に来ちゃってごめんね。要件はこれだけだから、それじゃ。」
 
 踵を返して小走りで森の奥へと駆けてゆくフィーの姿を、一瞬呆けて見ていた俺はすぐに我に返って彼女を追いかけた。
 確かに声色はフィーそのものだったが、死んだはずのフィーがそんなに都合よく現れるはずがない。
 もしかしたら、この世界のフィーは生きていて、こちらの世界に居るかも知れないセツカと勘違いされた可能性もゼロではない。
 どことなく感じる違和感を確かめるためにも、フィーの姿を追わずにはいられなかった。

 フィーの駆け足はそれほど速くはなく、少し森の中に入った所ですぐに追いついた。

「ちょっと待て、色々順序がおかしいだろ!?分かるように説明してくれ!」

 少し強引に彼女の腕を掴むと、彼女は吃驚したように肩を跳ね上げこちらを振りかえった。
 隠れた前髪から見えたもう一つの眼の色は、フィーの二つ異なる眼の色と違う同じ紫だった。

「……違う。」

 やっぱり、この娘はフィーじゃない。
 落胆しつつも、覚悟していた結果に冷静でいられる悲観的になった自分に苦笑いした。
 彼女の顔を見つめると、亡くなったフィーよりは少し大人っぽい雰囲気から、見覚えのあるフィーに似た女性の事を思い出した。

「酷いですよ、ノウァさん。どうして、こんな手の込んだ嘘を?からかうにしても、やり過ぎです。」

 咎めるようにノウァさんの方をきつく睨むと、彼女は困ったような表情で視線を逸した。

「嘘じゃないわよ……事情があってノウァの身体を貸して貰ったの。気付かれないようにしたかったのに、追ってくるから。」
「は、い?」

 この期に及んでまだフィーと言い張るノウァさんに、少しだけフィーの面影が重なって気持ちがよけい切なくなった。

「嘘を付くなら、もう少しマシな嘘をついてください。チョコを貰えた事は有り難いですが、こんな渡し方をされたら素直に喜べませんよ。」
「ちょっと、私がフィーの振りしてる痛い子みたいじゃない。そんなに疑うなら、私がフィーだって証拠を見せるわ。セツカと私しか知らないような事を聞いてみなさいよ。ちゃんと答えられるから。」
「え……じゃあ、初めてキスした場所は?」

 見る見るうちに顔が紅潮してゆくノウァさんを見て、迂闊な質問をしてしまった自分を少し呪った。

「な、夏の日の偽島の海岸で私から……って、何でそんな事今聞くの!?言わせないでよ、恥ずかしい!」
「ご、ごめん。咄嗟にそれしか思い浮かばなかった。」

 恥じらいながら抗議するノウァさんの様子に、フィーと一緒に居た頃の気持ちが蘇ってくるのを感じた。

「でも、合ってる。本当にフィーなのか?」
「……分かってもらえたなら、別にいいわ。勘違いされたまま別れたら、私だって辛いもの。」
「正直、にわかには信じがたい出来事で、まだ混乱してる。どういう状況なのか、順を追って説明してくれ。フィーの言うことを、今度は信じるから。」

 フィーは頷くと、真剣な表情で俺の方を見つめた。

「話せば長くなるのだけど、ノウァの身体もずっと借りていられる訳ではないから、私の知ってる所だけでも話すわね。」

 フィーの話を大体把握すると、こんな感じだった。
 フィーの身体は失われてしまったけど、彼女の魂は形を変えて留まっているという事。
俺に託されたペンダントがそれで、ペンダントの中でも僅かに意識があり、周りの状況はある程度把握できている事。
 ノウァさんはこちらの世界のフィーがやはりオリフィに殺されて、悪魔の力を借りて生まれ変わった人だという事。
 同じフィーの魂が共鳴するお陰か、ペンダントからでもノウァさんとコンタクトを取ることができて、フィーの身体を取り戻す協力をしてくれると約束した事。

「もっとも、具体的な手段はまだ決まってはいないけど……今まで伝えられなくてごめんね。私の所為でずっと辛い想いをさせてしまって。」

 俯くフィーの様子を見て、ふとある疑問が頭をもたげてきた。

「……あのさ、今まで意識があったって事は、俺の独り言もペンダント越しに聞こえてたって事?」
ハッとした表情で顔を上げて此方を見つめると、また顔が紅潮してすぐ俯くフィー。
「ああ、そうなんだ。俺、かなり恥ずかしいことしてた訳ね。ははは……そうだったんだ。」

 フィーの顔をまともに見るのが恥ずかしくなって、自嘲的に笑いながら視線を逸した。

「あ、それはっ……いつも意識があって聞こえてたわけじゃないから。それだけ想ってていてくれたことは嬉しかったし、何も伝えられない私が歯痒かったりしたし。」
「いや……今思えば、ペンダントを握りしめた時にフィーの想いが伝わってくるように感じたのは、錯覚じゃなかったって嬉しくなった。」

 こういう形ではあれど、死んだ筈のフィーに再会できたことの喜びは大きかった。
「……うん、そうかもしれない。チョコは私がちゃんと作ったものだから、安心して。一つでも、約束を守りたかったから。」

 フィーの手を取ると、温もりがしっかり伝わってくる。その身体がノウァさんのものだということを、忘れてしまうぐらいに目の前に居る彼女は、俺の知っているフィーそのものだった。

「約束を破ったなんて思ってないよ。覚えていてくれて、ありがとう。でも、過去の約束よりも今いるフィーとの約束が欲しい。また会えるって、約束してくれ。」
「……うん、分かった。必ずセツカにまた会いに来るわ。約束する。」
  

 頷いたフィーに頬を寄せて抱き寄せると、甘い薔薇の香水の匂いが鼻先をくすぐった。
 フィーの潤んだ目に吸い寄せられるようにキスをする。
 柔らかい唇から少しだけ吐息が漏れると、フィーは目を瞑り俺の方に身体を預けた。

磁石が自然にひきあうように。



 ―どのくらいの時間が経ったのか分からないが、暫くするとフィーは急に強張って唇を離した。

「あ、あのっ。お取り込み中の処申し訳ないのですが……フィーはもう帰りましたので、離していただけますか?」
「あ、はい……すみません。」
 
 顔を紅潮させたまま、気不味そうに視線を逸らす彼女は、紛れも無くノウァさんに戻ってしまっていた。
 
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