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2018-11

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表日記15日目

 大熊猫さんの便利道具に、部屋番号のついたプレートというものがあり、適当な場所に貼り付けると目の前に扉が現れ、特殊空間で繋がった共同設備の部屋の一つに入れるというものを使ってみないかと提案があった。
 確かに私は異送鏡の中に部屋を作って生活できるが、深雪やニールは屋外ではテントの寝泊まりをしなければならない。
 まったく外敵の危険性が無いわけではないので、どこからでも部屋に移動することができるプレートの使用は、テントよりも安全かつ快適で魅力的なものに思える。
 
 だが、私にとっては相手の作った結界内に一時的にとはいえ閉じ込められる事に抵抗を感じていた。
 子供のようで情けないことだが、自分の匂いのしない空間だと、落ち着いて眠れなかった。
 快適性と安全性も異送鏡の中で満たされてしまう私には、それほどメリットがあるわけではない。

「でも、深雪の安全を考えるなら、使わない手もないわね。」

 着ぐるみを着たニールが私の独り言に振り向いた。

「大熊猫に貰ったプレートの事か?確かに野営の危険を回避できる点で、俺も賛成だ。早速申請してきたほうがいいか?」

 ニールの言葉に私は首を横に振った。

「深雪ね、私にあんな態度だけど一人じゃ眠れないのよ。部屋に一人にする訳にもいかないわ。異送鏡の中にも何故か深雪は入れないし。」

「は?それならそれで、大熊猫の部屋に深雪とノウァが一緒に入ればいい話だろう?何の問題があるんだ。」

 着ぐるみのせいで、ファーヴニールの表情は分からないが、声色は明らかに不服そうな声だった。

「私にも色々事情があるの。パーティメンバーとはいえ、全てを信頼しているわけではないわ。万が一のことも考えて、領域に干渉できる私が外に居たほうが都合がいいの。」

「……何を言ってるのか、俺にはさっぱり分からん。」

「ニールに理解を求めてないわ。私の都合だから、放っておいて。とはいえ、深雪の事を考えたら、部屋に泊めたほうが私も安心ね。歯軋りから解放されるし。」

 私はポンと柏手をうって、ニールにプレートを押し付けた。

「ニールが深雪と一緒に入ればいいのよ。深雪もニールに懐いてるし問題解決ね。」

「いや、ちょっと待て。深雪が好きなのは俺の殻だけだ。俺の中身に懐いてるわけじゃない。着ぐるみを脱いだら、間違いなく拒絶される。」

「何言ってるの、深雪の見ている間は着ぐるみを脱がなければいい話じゃない。簡単な事よ。」

「なん……だと。」

 ニールがプレートを持ったまま硬直しているのを眺めながら、私はふとある事を思い出して、顎に手を当ててニールを見つめた。

「よく考えてみたら、ニールって大人の男よね?幼いとはいえ、女の子と一緒に生活させるのはどうかと思うわ。」

「今更そんな事を言われるとは、俺自身もびっくりした。むしろ、今まで俺を何だと思ってたんだ。」
 
「え、ニールってロリコンだったの?あらやだ、やっぱりこの話は保留ね。」

 私はプレートをニールから取り返すと、ポーチの中にさっさと仕舞った。
 
「……ノウァの俺への信頼度というものを、改めて理解した。」

 そういうニールの背中は心なしか、いつもより小さく見えた。
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