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2019-09

裏日記15日目

 ダチョウともキーウィとも違う不思議な生き物に出会った。
 
 その生き物は、何処かでみた事のある顔だというか、顔だけ鳥人のナナさんに似ていたので、とりあえず野性のナナさんと名付ける事にした。

 なんだか物欲しそうにしていたので、お菓子をあげると後をついてくるようになった。

「……ひょっとして、これ。懐いているんじゃない?」

 自信有りげな顔でずっと後をつけて来る、野性のナナさんを見詰めながら魚臭いフィーが言った。


「いや、寧ろフィーが食べたくて付いてきてるんじゃないかしら。鳥って魚も好物よね?」

「やめてよ、冗談でも想像しただけで寒気がするわ。それなら、今襲いかかられてもおかしく無いでしょ。餌付けに成功したのよ。ノウァの魅力も捨てたもんじゃないわね。」

 ふと足を止めて、野性のナナさんの方を振り返ると視線があった。
 野性のナナさんは、立ち止まって私を見ると不敵な笑みを浮かべた。

「……まったく思考が読めないわ。」

「私が思うに、きっとノウァに乗ってくれって言ってるのよ。ほら、あの足カモシカみたいに逞しい。」


 フィーが野性のナナさんの足に見蕩れるように、感嘆の息を漏らした。

「え、そう?全然乗っていいような素振り見せてないんだけど。寧ろ、懐いたのかどうかさえ疑わしいわ。」

 恐る恐る近づいてみると、野性のナナさんは不敵な笑みを浮かべたまま、膝をついた。

「あ、あの……乗っても宜しいでしょうか?」

 どうしてこんな変な鳥に、敬語を使ってしまったのか自分に疑問を抱いたが、その存在感はそれ程に圧倒的だった。
 野生のナナさんは否定とも肯定とも取れない不遜の態度で、私の前に鎮座していた。

「……の、乗りますね。」

 一言断りを入れて、背中からゆっくり彼女の頭に横乗りで乗ってみた。
 野生のナナさんは身動きひとつせず、私が乗っても抵抗はしなかった。
 羽毛でそれなりに頭は柔らかいものの、綱も何もついてないので、もみあげあたりにとりあえず手を添えてみる。


「ええと、動いて?命令したほうがいいのかしら。走れ!」


 私の号令にまったく動じること無く、野生のナナさんはまったく動かないどころか、すやぁといびきかき始めた。

「きっと……乗馬と同じよね。お尻のあたり、叩きますね。」

 空いてる片手でペシペシとお尻のあたりを叩くと、野生のナナさんはいびきをかくのをやめ、すくっと立ち上がった。

「あ、ええと……山本さん達を追っかけてください。あっちの集団です。」

 野生のナナさんが私の方を見上げるので、とりあえず行きたい方へと指を差した。
 
 野生のナナさんは、周りの風景が流れるような速度で駆け出した。
 それはまるで疾風のようであり、見る見るうちに山本さん達の姿が遠ざかって行くようだった。

「って、ちょっと!?行く方向逆なんだけど!?止まって!若しくは戻って!?ちょぉおおおお!?」
  
 野生のナナさんは更に加速し、このまま空も飛べそうな勢いで大地を駆け抜けた。
 砂埃が舞い、景色もあっという間に飛んでゆく。
 私は風と一つになったような錯覚を覚えた。
 というか、最早風の一部となったと言っても過言ではないだろう。
 野生のナナさんは、私を振り落としたのも気づかないまま水平線の彼方まで走り抜けていったのだった。
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