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精霊日記12日目

 裏路地を他愛もない話を交わしながらメルフィーと歩いていると、目の前に薄紫のワンピースを着た白髪の少女が二人立ち塞がった。
 一人は斧を構えながら此方に頬笑みを浮かべ、もう一人は装飾の施された長い棒のようなものを両手で抱えながらじっと俺の方を見つめていた。

「ファーヴニール……見ツケタ♪」

 大きな斧を軽々しく構えた少女が、こちらを警戒する様子もなく近づいてくる。

「ちょっとー、何よいきなり。ロングソード伯の娘の前で、物騒なことやらかすつもり?私に何かあったら、貴方たちの首二つ飛ぶだけじゃ許されないわよ?」

 メルフィーは相変わらずヘラヘラした笑を浮かべながら、それでもしっかりとピアサーと呼ばれる針のような形状の剣を少女の目の前に突き付けた。

「ロングソード卿の娘。アウレア……そっちには手を出しちゃダメ。ファーヴニールだけ片付ける。」

 斧を持った少女をアウレアと呼んだ少女は、後ろの方で長い棒のようなものの先端を此方に構えた。

「チッ……退ケ、お前エ邪魔!」

 アウレアと呼ばれる少女が乱暴に斧を振り回すのを、メルフィーはすかさず一歩飛び退いて避けた。
 斧を振り回した反動で隙だらけの少女の身体に、一応は手加減として鞘に収めたままの剣で胴体に俺は一撃を見舞った。

 ガキィン!

 一撃を見舞った筈の俺の剣は、何かの衝撃に弾き飛ばされ鞘が衝撃で吹っ飛んだ。
後ろの棒のようなものを構えた少女の攻撃のようだったが、何をされたのかまで分かる程ではなかった。

「ちっ、魔法か……」

 俺は黒い刃の剣を構え、再び斧を持った少女に斬りかかる。
 アウレアはその剣を受け止めようと斧を構えるが、黒い剣は霧状になり相手の斧をすり抜けて少女の身体を斬るはずだった。
 霧のようになった魔剣の刃を、アウレアは普通の斧で受け止めニヤリと笑った。

「コレが黒剣カ……タイシタコト無ィ。」

 アウレアが俺の剣を弾くと、再び斧を振りかざしてきた。
 メルフィーはすかさず少女の懐に飛び込むと、胸元にピアサーを突き刺し、彼女の動きを一瞬止めた。

「グッ…!」

 踞る少女に一瞬、ナナの顔がよぎって攻撃を躊躇ったが、メルフィーをこれ以上身の危険に晒すわけにはいかず黒い霧状の刃を脳天に一撃を叩きつけた。
 
 が、黒い霧すら一瞬かき消す程の衝撃が、長い棒を構えた少女から放たれた。

「ちっ、またか!」

 流石に苛立ちを隠せず俺が舌打ちすると、いつの間にか立ち上がってきたアウレアがまた斧を振りかざし飛び込んできた。

「行クゾ!ルシリア!」

 霧散した黒い霧を集中して刃に変えアウレアの鋭い一撃を受け止めるが、斧をすぐさま少女は手放し、懐に飛び込んできた。
 俺が剣を構えなおす前に、少女の細い腕が俺の腕を物凄い力で握り締めた。

「捕マエタ♪」

 口元を釣り上げるアウレアの背後で、俺に例の棒を構えるルシリアと呼ばれた少女と目があった。

「……さようなら。」

 アウレアが俺の手を離して飛び退くと同時に、長い棒の先端から閃光と轟音が発せられるのが見えた。
 避けられない衝撃を覚悟した俺に、鈍い音と共に何かが寄りかかってくるのを感じた。
 それが、メルフィーの身体だと気づいたとき、彼女の足元には水溜りのような血が流れ落ちていた。

「あぁ、こんな終わり方するなんて情けなぁい。」

 血塗れの手をメルフィーが伸ばして俺の頬を撫でると、満足したように微笑んだ。

「貸一つ、できたね……高くつくよ。」

「ああ、だが借りを返すまで寝るなよ。少し休んでいろ。」

 メルフィーを壁に立てかけるように座らせると、俺は二人の少女に再び剣を構えた。

「予定変更。戻るよ、アウレア。」

 長い棒を持った少女が構えを下ろした瞬間、斧を拾い直したアウレアには目もくれず、俺はルシリアに向かって駆け出した。

「……っ!?」

 慌てて長い棒を構えなおしたルシリアは、長い棒から光の衝撃のようなものを放ってきたが、黒い霧を盾状にして構えるとそれを凌ぎながら彼女との間合いを詰めた。
 直線的な衝撃はやがて盾を避けるよう湾曲して身体に突き刺さったが、俺の歩みと気力を削るほどの力はなかった。
 ルシリアの表情が強張りながら長い棒を構えなおす前に、俺は盾状の霧を剣に戻して棒状の武器を斬り払った。

「終わりだ。」

 剣を再び構え直して、ルシリアの体を貫こうとした時。
 背中に強烈な衝撃を受けて、思わず俺は跪いた。
 片方の腕には力が入らず、辛うじてもう片方の腕で剣を杖がわりに体を支える。
 後ろを振り向くと、巨大な斧をトマホークのように俺に投げつけたアウレアが口元を釣り上げて憎たらしい笑を浮かべていた。

「チェックメイト、ダ♪」

 背中に突き刺さる斧のせいで蹲ったまま動けない俺から斧を抜き取ると、塵屑のようにアウレアは俺の身体を蹴り転がした。
 仰向けになり転がる剣に手を伸ばそうとすると、ルシリアがそれを弾くように蹴り飛ばした。
 それから肉屋が屠殺するような軽快な斧捌きで、アウレアは俺の四肢をメッタ斬りにした。
 あまりの激痛にどこまで意識があったのかは覚えていないが、最後に見えたのはアウレアという少女の恍惚に満ちた表情だった。
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