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精霊日記18日目
フィーのセツカの過去話
それは、土砂降り雨の寒い日の事。
水たまりを避けながら傘を差して、買い物の帰り道を歩いていると妙なものが目についた。
それは、道端のスミに落ちている黒い小さな塊で、よく見ると黒い毛玉のようなものだった。
「……なんだろう、これ。」
しゃがみこんで黒い毛玉に触れてみると、その塊はニャアと小さな声で鳴いた。
「これ、猫だ!?」
毛玉のような、おそらく大きさからいって子猫の体に触れると、雨に濡れて体力を奪われたのかとても冷たかった。
「えっ、ちょっ、死んじゃうの?待って、待って、待って!?」
私は慌てて子猫を抱え込むと、泊まっている宿に向かって全力で駆け出した。
自分も濡れてしまったが、まずは体温の下がった子猫の方が優先だ。
宿の部屋に戻った私は、タオルで濡れた体を拭くと部屋の暖気を入れることにした。
体が乾いてくると、子猫の体温も少しは上がってきたが、相変わらずぐったりとした様子は変わらなかった。
もしかすると、お腹が減っているのかもしれない。
ミルクを与えれば元気になるかもしれないと思い、私はまずはミルクを温めた。
「猫舌っていうぐらいだし、温かすぎてもダメだよね……人肌ぐらいかな。」
カップに入れたミルクに指を入れて温度を確認してから、先ずは指先を子猫の口元に近づけてみた。
子猫はミルクの臭いに反応したのか、指先をじゃりじゃりした舌でぺろぺろと舐めた。
「ちょっ、これ、擽ったすぎるんですけど!?」
代わりの哺乳瓶がある訳でもなく、スポイトも代用してみたが、なぜか飲んでくれなかったので、結局指伝いで子猫にミルクを飲ませるしかなかった。
指が逃げるのを、必死に抑えるように爪なども立てられたので、手からちょっと血が出て痛かった。
ミルクを飲んで満足したのか、子猫はニャアと元気な声を出すと、そのまま眠ってしまった。
「とりあえず元気にはなったのかな?首輪も付いてるみたいだし、飼い猫なんだよね……雨が止んだら、飼い主探しに行かないと。」
初めて見たのに、かわいらしいと感じる子猫を見ていると、そのまま飼ってしまいたい衝動にかられたが、飼い主も同じぐらい心配してるだろうと心を鬼にして、雨が止んだら飼い主を探しに行くことにした。
「フィー!無事か!?」
寝ている子猫と一緒にベットで微睡んでいた私は、突然ドアが開いて雪火が飛び込んできたので飛び起きた。
「ちょっと!いきなり入って何なの!?子猫もビックリして起きちゃったでしょ!雪火の無頓着!」
私は近くにあった枕を、力いっぱい雪火に投げつけた。
「いてっ!フィーこそ何があったんだよ!?買い物袋と傘が道端に置きっぱなしだったから、事件に巻き込まれたのかと思ったじゃないか!」
枕を避けそこねて、不満そうな表情をした雪火は、私の置きっぱなしにしていった傘と買い物袋を持ってきてくれていた。
「あっ、ごめん……道端で弱ってる子猫拾っちゃったから、慌てて帰っちゃって。」
「……いくらなんでも慌てすぎ。猫の方は大丈夫なの?捨て猫?」
雪火が荷物と傘を置いて、私のベッドの方へ来ると、目を覚ました子猫を覗き込んだ。
子猫は私にすっかり懐いたようで、私の方へ体をすりすりしながら尻尾を揺らしてニャーと鳴いた。
「かわいいねー、あっ、でも首輪付いてるんだ。もしかして、飼い猫だったのかな?」
雪火が子猫を抱えようとすると、子猫は猛ダッシュで私の布団の中に逃げていった。
「……なんか雪火は猫に好かれてないんだね。あと、悪いんだけどまだ私着替えてないから、ちょっと部屋から出て貰っていい?折角荷物持ってきてくれて、悪いんだけど。」
「あっ、ごめん!非常事態だったから!?でも、無事でよかった、フィーも子猫も!」
雪火は慌てて取り繕うように両手を交差すると、速やかに部屋を出て行った。
雨上がりのあと、私と雪火は子猫の飼い主を探しに出かけた。
近くの公園で子猫を探している女の子を見つけたので、子猫を見せると女の子は喜んで私たちにお礼を言った。
「すぐに飼い主が見つかって良かったな。フィー……ん、どうかした?」
子猫と少女を見送る私の表情が寂しく見えたらしく、雪火は心配そうに私の方を見た。
「ううん、なんでもないわ……私も落ち着いたら、猫飼いたくなったかも。」
雪火は微笑むと、私の髪の毛を撫でようとしたので、私は猫じゃないと雪火の手を素早く払い除けた。
それは、土砂降り雨の寒い日の事。
水たまりを避けながら傘を差して、買い物の帰り道を歩いていると妙なものが目についた。
それは、道端のスミに落ちている黒い小さな塊で、よく見ると黒い毛玉のようなものだった。
「……なんだろう、これ。」
しゃがみこんで黒い毛玉に触れてみると、その塊はニャアと小さな声で鳴いた。
「これ、猫だ!?」
毛玉のような、おそらく大きさからいって子猫の体に触れると、雨に濡れて体力を奪われたのかとても冷たかった。
「えっ、ちょっ、死んじゃうの?待って、待って、待って!?」
私は慌てて子猫を抱え込むと、泊まっている宿に向かって全力で駆け出した。
自分も濡れてしまったが、まずは体温の下がった子猫の方が優先だ。
宿の部屋に戻った私は、タオルで濡れた体を拭くと部屋の暖気を入れることにした。
体が乾いてくると、子猫の体温も少しは上がってきたが、相変わらずぐったりとした様子は変わらなかった。
もしかすると、お腹が減っているのかもしれない。
ミルクを与えれば元気になるかもしれないと思い、私はまずはミルクを温めた。
「猫舌っていうぐらいだし、温かすぎてもダメだよね……人肌ぐらいかな。」
カップに入れたミルクに指を入れて温度を確認してから、先ずは指先を子猫の口元に近づけてみた。
子猫はミルクの臭いに反応したのか、指先をじゃりじゃりした舌でぺろぺろと舐めた。
「ちょっ、これ、擽ったすぎるんですけど!?」
代わりの哺乳瓶がある訳でもなく、スポイトも代用してみたが、なぜか飲んでくれなかったので、結局指伝いで子猫にミルクを飲ませるしかなかった。
指が逃げるのを、必死に抑えるように爪なども立てられたので、手からちょっと血が出て痛かった。
ミルクを飲んで満足したのか、子猫はニャアと元気な声を出すと、そのまま眠ってしまった。
「とりあえず元気にはなったのかな?首輪も付いてるみたいだし、飼い猫なんだよね……雨が止んだら、飼い主探しに行かないと。」
初めて見たのに、かわいらしいと感じる子猫を見ていると、そのまま飼ってしまいたい衝動にかられたが、飼い主も同じぐらい心配してるだろうと心を鬼にして、雨が止んだら飼い主を探しに行くことにした。
「フィー!無事か!?」
寝ている子猫と一緒にベットで微睡んでいた私は、突然ドアが開いて雪火が飛び込んできたので飛び起きた。
「ちょっと!いきなり入って何なの!?子猫もビックリして起きちゃったでしょ!雪火の無頓着!」
私は近くにあった枕を、力いっぱい雪火に投げつけた。
「いてっ!フィーこそ何があったんだよ!?買い物袋と傘が道端に置きっぱなしだったから、事件に巻き込まれたのかと思ったじゃないか!」
枕を避けそこねて、不満そうな表情をした雪火は、私の置きっぱなしにしていった傘と買い物袋を持ってきてくれていた。
「あっ、ごめん……道端で弱ってる子猫拾っちゃったから、慌てて帰っちゃって。」
「……いくらなんでも慌てすぎ。猫の方は大丈夫なの?捨て猫?」
雪火が荷物と傘を置いて、私のベッドの方へ来ると、目を覚ました子猫を覗き込んだ。
子猫は私にすっかり懐いたようで、私の方へ体をすりすりしながら尻尾を揺らしてニャーと鳴いた。
「かわいいねー、あっ、でも首輪付いてるんだ。もしかして、飼い猫だったのかな?」
雪火が子猫を抱えようとすると、子猫は猛ダッシュで私の布団の中に逃げていった。
「……なんか雪火は猫に好かれてないんだね。あと、悪いんだけどまだ私着替えてないから、ちょっと部屋から出て貰っていい?折角荷物持ってきてくれて、悪いんだけど。」
「あっ、ごめん!非常事態だったから!?でも、無事でよかった、フィーも子猫も!」
雪火は慌てて取り繕うように両手を交差すると、速やかに部屋を出て行った。
雨上がりのあと、私と雪火は子猫の飼い主を探しに出かけた。
近くの公園で子猫を探している女の子を見つけたので、子猫を見せると女の子は喜んで私たちにお礼を言った。
「すぐに飼い主が見つかって良かったな。フィー……ん、どうかした?」
子猫と少女を見送る私の表情が寂しく見えたらしく、雪火は心配そうに私の方を見た。
「ううん、なんでもないわ……私も落ち着いたら、猫飼いたくなったかも。」
雪火は微笑むと、私の髪の毛を撫でようとしたので、私は猫じゃないと雪火の手を素早く払い除けた。
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