2017-08

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精霊日記20日目

 今回の日記はPTメンバーのサブキャラ、セツカ(E-No.656)さんのお誕生日記念話です。

「バレンタインの近くまでにはフィーさんに会えるようにしておくから、ペンダント貸しておいて。」

 深雪の言葉を信じて、フィーの魂が封じられたペンダントを渡したセツカは、約束の日までそわそわして気持ちが落ち着かなかった。
 またフィーに会える期待と、普段身に着けているペンダントがない不安が入り交じって、日頃の任務であるサクラやレイヤの護衛にも気が削がれそうになる程だった。
 
「ダメだな……こういう時こそ、気持ちを切り替えていかないと。」

 精霊協会の依頼を終えて宿に戻ったセツカは、荷物を置いてベッドに寝転がると、そのまま微睡みに襲われ眠りについてしまった。
 目が覚めたら、フィーが隣にいてくれる。
 そんな淡い期待をセツカは抱きつつも、現実はそんなに甘いものではなく、目が覚めたら独りだという事実を受け止めなければいけない。
 それならせめて夢の中だけでも、フィーと楽しく過ごしていたい。
 セツカの思いが通じたのか、ふと目の前に微笑んでいるフィーの姿があった。
 
「フィー。夢の中だし、少しぐらい無茶しても怒られないよな……」

 セツカがフィーを思い切り抱きしめると、ギャーという大きな悲鳴が上がりセツカの身体はベッドに突き飛ばされた。

「痛てぇ!?なんだよ、この夢!?」
「ちょっと、寝ぼけているの?起きていきなり抱きついてきたら、こっちだってびっくりするでしょ!?」 

 いきなり突き飛ばされたので、セツカの目は覚めたがフィーが自分の部屋にいる理由が、いまいち理解できていなかった。

「え、もしかして俺。あれからバレンタインまでずっと眠りっぱなしだったのか……」
「セツカ、バレンタインは1週間以上先だよ。ウルドさんが前より呪いの方解析できたから、元に戻れる時間が余ったって言ってた。」
「随分とアバウトな説明だな……深雪らしいというか何というか。でも、フィーに会えるのは嬉しい誤算だよ。正直、ペンダント手渡してから少し不安だった。」

 セツカがフィーの手を握ると、彼女は紫と赤のオッドアイの目を細めてはにかんだ。

「私も、セツカに早く会いたかったから。ずっと人の姿でいられる訳じゃないみたいだけど。あ、折角だから何か美味しいもの作ってくるね。」
 
 厨房へ向かおうとするフィーの手をセツカは握り締めると、そのまま引き戻してフィーをベッドの横に座らせた。

「折角会えたんだから、何もしなくていい……ずっとこうしていよう。」

 セツカに後ろからしがみ付かれたフィーは、肩をビクリと弾ますと、振りほどこうとしてジタバタし始めた。

「そ、それでもいいんだけど!ウルドさんが後で何があったか、根掘り葉掘り聞いてくると思うから!?何もしないで、ずーっと一緒に居たっては言いづらくて!?」
「くそっ、深雪め……フィーに余計なプレッシャーを。でも、分かった。クリスマスの時に回れなかった場所にデートに今から行くか。」
「えっ、今から?そんなに無理しなくてもいいよ。さっきだって、セツカは疲れて寝ていたんでしょ?だから、ご飯作ろうかと思ったんだけど。」
「ありがとう、フィー。それじゃ、手料理の方は次の楽しみにとっておく。夜は宿の方で一緒にご飯食べるとして、それまで少し時間があるな……フィーは何がしたい?」

 セツカがフィーを離して尋ねると、彼女は自分の髪の毛を指でくるくるとさせながら少し考え込んでいるようだった。

「うん、セツカとの思い出になるような事できたらいいかな……漠然としてて、なんだかごめんね。」
「そっか……分かった。」

 セツカはフィーの肩を掴んで正面を向かせると、真剣な眼差しで顔を近づけてきた。

「ちょ!?ちょっとタンマ!?思い出になるけど、ウルドさんに恥ずかしくて説明できないよ!?」
「くそっ、また深雪か。どこまでも邪魔しやがって……許せん。」
「セツカ。元の姿でいられるのはウルドさんのお陰だから、怒りをぶつける場所が間違ってると思うよ?」
 
 フィーに頭を撫でられて、少しは落ち着きを取り戻したセツカは、今日が日本の行事で節分にあたる日だと思い出した。

「そうだな……フィー、もう大丈夫だ。そういえば今日は節分の日なんだな。フィーは節分って知ってる?俺の故郷だと恵方巻き食べたり、豆まきしたりするんだけど。」
「節分?知らないわ。恵方巻きと豆まきって何?それって面白かったりするのかしら?」
「魔を払ったり福を呼ぶ習慣だから、そんなに面白くはないと思うけど……折角だし、やってみるか。でも、恵方巻きは夜食べる前にきついし、準備も少し時間が掛かるな。」
 
 フィーが恵方巻き食べてテンパッてる姿を見てみたいと、セツカは口に出しそうになるのを、大人の理性で抑え込んだ。

「それなら、豆まきっていうのをやろうよ。どうやってやるの?セツカ、教えて。」
「そういえば、落花生なら少しあったかも。同じ豆だし、落としても食べられるし落花生を使うか。じゃあ、俺が鬼役になるから、フィーが俺に豆を投げてよ。」

 セツカは紙で箱を折って、落花生を入れるとフィーに手渡した。

「セツカすごいね、紙で箱作れるんだ?豆はセツカに投げればいいの?」
「これぐらいの箱なら俺だって折れるよ。うん、ただ豆を投げるだけじゃなくて『鬼は外、福は内』って言って投げるんだ。福は内の時は部屋に方に投げて。」
「うん、分かった……やってみる。鬼はそとーっ。」
「そうそう、良い感じ。そうやって鬼を部屋から出すんだよ。」
 
 落花生を軽く放るフィーに和んで、笑いながら逃げていたセツカだったが、調子づいたフィーは的確に顔や目に豆をぶつけるようになった。

「ふふ、これ面白いわね。鬼はそとー、鬼はそとー、鬼はそとー!」
「フィー、あのさ鬼に豆投げるだけじゃなくて、福は内って部屋にも投げないと意味が無いんだよ。あと、地味に顔狙ってない?痛いんだけど。」
「へぇ、そうなんだ?でも楽しいから、鬼に投げるわ。鬼はーそと!鬼はーそと!」
「フィー、人が痛がってるのを分かってやってるだろ、それ!?ちょっと手本見せるから豆渡せよ!」
「嫌よ。私が鬼役になって、今度はセツカが私に豆をぶつけるんでしょう?そう安々と渡さないわ。」 
 
 セツカが奪いとろうとする豆の箱を、背を伸ばして高く掲げて抵抗したフィーは、足元のバランスを崩してそのままセツカと一緒に倒れこんだ。
 
「いたたっ……セツカのばか!転んだせいで豆をばら撒いちゃったじゃない!どうしてくれるのよ!?」
「さて……どうしようかな。フィー、豆まきはね。投げる豆がなくなったら鬼の言うことを聞かなきゃいけないってルールが有るんだよ。」

 上乗りの態勢になったセツカが、仰向けになったフィーに不敵な笑みを浮かべた。

「え、なにそのルール。あ、さっきは調子に乗って、豆投げ過ぎてごめんなさい。」 

 いつもと様子が違うセツカに、フィーは不安になって身体を起こそうとしたが、腕も掴まれて起き上がれない状態にされてしまった。
 
「ダメ、許さない。今の俺は鬼モードだから。」

 悪乗りして、困っている表情が見たくなったセツカは、わざとフィーに冷たい態度を装った。

「えっ、ちょっ!?鬼モードって何!?本気で怖いんですけど!?」
「そうだな、許して欲しかったらフィーが態度で示して見せてよ?」

 フィーの耳元に顔を寄せてセツカが囁くと、突如後ろのドアが勢い良く開かれた。

「あっ、フィーさーん!バレンタインの時にチョコ作るのお手伝いしてって言うの忘れてたー!その時はよろしくねー……って、何やってんのそんな所で。」
  
 深雪の白けた視線に、フィーは目を逸らしてセツカは気まずそうに立ち上がった。
 
「いや、フィーに豆まきを教えてたんだ……節分だし。」
「あっ、そっかー。そういえば今日は節分だもんねー……そんな豆まきあるか。」

 深雪の的確なツッコミにセツカは一瞬怯んだが、床に散らばった豆を深雪に投げつけて追い払った。

「痛っ、痛っ!?セツカ兄ぃのアホー!もうフィーさんの事元に戻してなんかやんねーから!」
 
 涙目で逃げてゆく深雪にそれでも落花生を投げるセツカを、フィーは慌てて抱きしめて押さえ込んだ。

「セツカ、もう止めて!ウルドさんのライフはとっくに0よ!」
「くっ!フィー……すまない。しかし何でほんとに、邪魔ばかりするんだ深雪は!」
「セツカ……ウルドさんに八つ当たりはよくないと思う。私も一緒に謝りに行くから、ウルドさんの機嫌直して貰わないと。」
「あ、うん。俺も少し悪ふざけし過ぎた。深雪に謝りに行くついでに、みんなで一緒にご飯食べに行くか。」
「あっ、それがいいと思う。ウルドさんからセツカの事も聞いてみたいし。さっきの打ち合わせの話もしておきたいし。」

 フィーはそう言うと、セツカの顔を覗きこんで頬を膨らませた。

「あと、さっきのはちょっと怖かったわ……ああいうのはやめてね。苦手なんだから。」
「ごめんごめん。へぇ、苦手なんだ……いい事聞いたかも。」

 ニヤリと嬉しそうな表情をするセツカの耳を、フィーは顔を真っ赤にして思い切り引っ張った。
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